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狂牛病BSE

「狂牛病BSE」の危険性

「狂牛病(BSE)」とは、牛の脳内に無数の空洞が出来てスポンジ状になってしまう病気です。この病気に感染した牛は、脳細胞が徐々に破壊されてゆき、神経障害、精神異常、痴呆症、運動機能の麻痺、痙攣などの諸症状を罹った末、やがて衰弱死に至ります。「狂牛病」の原因はウイルスではなく、「プリオン」と呼ばれる蛋白質の一種です。何らかの原因で異常変性した「プリオン」が脳細胞を蝕んで、「狂牛病」を発症させる仕組みです。従来の細菌やウイルスとは異なり、「プリオン」は常識では考えられない恐るべき性質を持つ未知の病原体です。DNA細胞やRNA核酸を一切持たない蛋白質である為、生物が本来持っている免疫防御機能が全く働きません。従って、一度体内に侵入を許してしまったら最後、易々と病気に感染させられてしまいます。しかも「プリオン」自体には遺伝子が無いにも拘らず、進化・変異を遂げながら増殖していきます。「プリオン」が持つ最も恐ろしい特徴は、その不死身さです。高温の炎で焼いて灰にしても、冷凍しても、消毒薬に浸しても、紫外線照射しても病原性は全く消えません。あらゆる蛋白質を分解するはずの消化酵素やホルマリンに浸しても、同じ結果でした。アメリカの生物学者が「プリオン」のアミノ酸配列を調べてみたところ、さらに驚愕すべき事実が分かりました。この病原性を持った異常な「プリオン」の構造は、健康な生物の体内で常に生産されている普通の蛋白質と全く変わり無かったのです。ただ生物の体内に侵入した「病原性異常プリオン」は、正常な蛋白質「プリオン」までもを異常変性させてしまいます。つまり厳密に言えば「病原性異常プリオン」は自己増殖していた訳ではなく、元から生体内に存在していた正常「プリオン」を病原性に変化させてしまう性質を持っていたのです。こうして増殖した「病原性異常プリオン」が、宿主である生物の脳細胞を段々と破壊してゆくというのが「狂牛病」のメカニズムです。

 

ここで「狂牛病がとても恐ろしい病気だって事はよく分かったけど、牛が罹る病気でしょう?その話が、私達人間と何か関係あるの?」という意見が出る事でしょう。1996年3月、イギリス政府がこんな発表をしました。「牛肉を食べる事によって、狂牛病が人間にも感染する危険性がある。イギリス国内のヤコブ病患者10人の発病原因は、狂牛病に感染した牛の肉を食べたからだ。」…この発表を受けて、世界中が大パニックに陥りました。たちまち牛肉の売上げは激減。EU各国はイギリス産の牛肉や乳製品は勿論、ゼラチン、牛脂製品、キャンディ、クッキー、口紅、咳止め薬など全ての加工製品に至るまで“緊急輸入禁止措置”を実施しました。さらにイギリスでは「狂牛病」感染の疑いがある27万5千頭もの牛が殺処分されました。ここまで「狂牛病」パニックが拡大した原因として、家畜牛の餌に「肉骨粉」という飼料が使われていた事実が挙げられます。「肉骨粉」とは死んだ家畜の肉や骨を細かく砕いて乾燥させた粉末状の飼料です。その原料には「狂牛病」感染していた牛、「スクレイビー病(狂牛病と全く同じ症状の羊固有の病気)」に罹っていた羊なども含まれていました。アメリカの医学研究博士の報告によると、「狂牛病」は豚にも感染するそうです。通常、家畜豚は2~3年で処分されて食肉加工されてしまいますが、病原体を接種させた豚を8年間飼育してみたところ、「狂牛病」と全く同じ脳病を発症したそうです。

同じ哺乳類である牛、豚、羊に「狂牛病」が感染するのであれば、人間にも感染しないはずはありません。実は人間にも「ヤコブ病」と呼ばれる同種の脳病があり、日本でも毎年100万人に1人の割合で発生しています。食肉摂取を介して牛から人へ「狂牛病」が感染したケースの死者は、これまで世界で百数十件報告されています。その内の1名は、短期間ながらイギリスに滞在歴があった日本人でした。専門家の話によると「狂牛病」は「病原性異常プリオン」が体内に取り込まれてから即発症する訳ではなく、しばらく潜伏期間を置いて発症するそうです。その潜伏期間は通常10年、短くても4~5年程度。人間の場合、「狂牛病」に感染した牛の肉を食べてから最初の10年間はほとんど何の症状も表れないと言われています。一方で、1980年代後半に感染した人々が、21世紀に掛けて爆発的に発病する恐れがあると懸念されています。その患者数は累計で数十万人規模になるという予測です。現在のところ「狂牛病」の治療方法や特効薬などは一切発見されておらず、ワクチンで予防する事も出来ません。一度罹ったら後は死を待つしかない、恐ろしい不治の病なのです。

 

現状で「狂牛病」パンデミック(大規模な伝染病流行)を防ぐ唯一の手段は、感染した家畜の速やかな殺処分しかないと言われています。そして感染した家畜の肉や乳製品が市場に出回らない様に、厳重監理する他ありません。それでは日本国内での「狂牛病」対策は、現在ちゃんと適正に行われているのでしょうか?日本では「肉骨粉」の完全使用禁止などで餌の管理が成功し、2002年1月以降に生まれた牛からは「狂牛病」は1件も発生してないと言われています。それに伴い、これまで全ての食肉用牛に対して行われていた「全頭検査」が2013年7月に一斉廃止されました。また、食肉検査の対象月齢も「生後48ヶ月超」の牛のみに規制緩和されました。つまり現在、国内で食肉処理される牛の“ほとんどが「狂牛病」検査対象外”となっているのです。一方、海外からの輸入牛肉については元々「全頭検査」は行われていません。アメリカ、カナダ、フランス産の牛肉は「生後30ヶ月」以下のものだけに輸入制限されています。さて、これで今後、本当に牛肉の安全性は100%大丈夫だと言えるのでしょうか?まだ生後若いから「狂牛病」を発症してないだけで、実は「病原性異常プリオン」に汚染された食肉が市場に出回っている…なんて可能性も十分考えられますね?肉は「狂牛病プリオン」に汚染されていて、しかも米は「放射能」汚染された東北産なんて“殺人牛丼”が販売されてなければ良いのですが…。今後、15年以上の長い潜伏期間を過ぎてから、国内で「狂牛病」患者が大量発生しない事を願うばかりです。

 

参考資料

●早く肉を止めないか?…驚愕の事実・狂牛病と台所革命
http://saisyoku.com/bse.htm

●牛海綿状脳症(BSE)について

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